これからドイツのイーベイで見つけた、アンティークポストカードを紹介しようと思います。
「とても若々しく美しい
すぐに駆け寄り間近で見れば
喜びに満ち溢れる
バラよ 赤いバラよ 野中のバラ」。
このポストカードの下の方に書かれている文句は、有名なシューベルトの「野ばら」の中の出てくるものそのままなので、おそらく、この歌をイメージした絵なのではないかと思われます。
それに、元々、この曲自体も、一見、野に咲く美しい野薔薇を歌っているかに見えますが、実はこれは若い頃のゲーテの、牧師の娘フリーデリーケ・ブリオンとの、実らなかった恋をイメージして、シューベルトが作曲した歌だとも言われているので。
この絵自体も、いかにも少年少女の初々しい恋の一場面を、描いている感じですし。
そしたら、逃げようとする少女に、近づく羊飼いの少年と、最初のカードの続きと思われるカードも見つかり、歌詞もやはり、このように「少年は言った 「君を折るよ」野ばらは言った 「ならば貴方を刺します
いつも私を思い出してくれるように私は苦しんだりはしません」と続いていました。
やはり、シューベルトの野ばらをモチーフにしたポストカードだったようです。
「神よ、どうか自分をお守りください。」
ポストカードの言葉によると、今、彼は広い世界へと旅立ったなどとあり、どうやら、事情があってしばらく彼女の許を離れなければならなくなった恋人の男性の帰りを、こうして待っている女性を描いているようです。
そういえば、これはシリーズ物になっているらしく、この場面の前を描いたと思われる、旅立つ男性を窓から見送る(というか、必死で追いかけるような感じでしたが。)
この女性の姿を描いたポストカードも、見つけました。上記の言葉も、同じでしたし。
最初の方のポストカードと思われる、この1枚の下の言葉も、気になったので調べてみました。これも、シューベルトの「野ばら」をテーマにした上記のポストカードと同じく、何かからの引用かもしれないと思ったので。
そしたら、これはどうやら、「ゼッキンゲンのトランペット吹き」という、詩人のシェッフェルが長篇叙事詩として執筆し、更に、ヴィクトル・ネッスラーが作曲し、オペラ化された作品の中に出てくる、歌詞だったようで。しかも、実話が題材になっているようです。内容としては、十七世紀、三十年戦争後のドイツを舞台にしたオペラの第二幕、男爵令嬢マリーと愛し合うようになったトランペットが上手い兵士ヴェルナーが、男爵の反対でマリーと別れねばならなくなり、その悲しみをマリーに訴えるアリア。最終的には、二人は晴れて結ばれ、大団円で終わるらしいですが。ポストカードの中には、この箇所の歌詞が書かれていました。
「ヴェルナーのアリア」
人生には嫌なこともついてまわる、
バラには刺があるように、
そして、哀れな心が憧れ、夢想しても、
最後には別れがくるように、」
それに、そういえば、トランペット吹きというテーマで、トランペットを吹く男性と寄り添う、クラシックな格好をした女性というモチーフのアンティークポストカードを、確かに何回も目にしました。この有名なオペラが題材だったとは。このように、有名なクラシック曲やオペラの内容をモチーフにするなんて、ドイツのアンティークポストカードって、なかなかしゃれていますね。
シェッフェル(Joseph Victor von Scheffel ヨーゼフ・ヴィクト―ル・フォン・シェッフェル)
[1826〜1886]ドイツの詩人・小説家。長編叙事詩「ゼッキンゲンのラッパ手」、歴史小説「エッケハルト」など。
下のポストカードの文章によると、ロマンチックな雰囲気溢れる、静かな月夜に、どうやらこの男性が、女性にプロポーズしようとしている所のようです。